「このまま定年まで働けるのだろうか」という不安から始まった
行政書士の勉強を始めたのは30代の頃でした。
当時は事務職としてわりといい会社で働いていましたが、ずっと心のどこかに不安がありました。
当時は寿退社が当たり前だった頃。女性が事務職として定年まで働き続けるのは簡単なことではない。
もし会社を辞めることになったら、自分には何が残るのだろう。
そんな思いがずっとありました。
今思えば、「資格を取りたい」というより、「将来の自分を支える何かが欲しかった」のかもしれません。
介護を経験して、進みたい道が変わった
実は当初、40代になったら介護職の仕事もいいかもしれないと考えていました。
ところが、父の看病や母の認知症介護を経験したことで、その考えは大きく変わります。
介護の仕事は本当に尊い仕事です。
実際に家族として介護に関わり、もしかしたら自分に向いているかもしれない、とも思いました。
しかし、母の介護は精神的に辛かったこともあって、介護を仕事としたときに
母に似ている人や思い出させる人をちゃんと介護できるのか?と考えたら
私は介護を仕事とする覚悟はもてないことがわかりました。
理想だけではできない、続けられない仕事もある。
それもまた大切な気づきでした。
本当は社会保険労務士になりたかった
「将来どうなるのかな、このままかな」と漠然と思いつつ事務職の仕事を続ける中で、
労働法や社会保険の制度に興味を持つようになりました。
そこで知ったのが社会保険労務士という資格です。
「これを勉強してみたい」
そう思ったのですが、私の学歴は高卒。
受験資格がありませんでした。
少し残念でしたが、調べてみると、
「行政書士の合格者」は社労士試験の受験資格を得られることを知りました。
それが行政書士への挑戦の始まりでした。
独学では歯が立たず、資格予備校へ
行政書士試験への挑戦。最初の2年間は独学でした。
市販のテキストや会社の教育支援制度で教材を取り寄せ、仕事の合間に勉強しました。
でも結果はなかなか厳しく、合格点にはほど遠い状態でした。
そこで3年目から資格予備校に通うことにしました。
今のようにオンライン講義などはありません。
日曜日になると、車で片道1時間かけて教室へ向かいました。
正直、面倒だなと思う日もありました。
それでも通い続ける中で、印象に残っていることがあります。
私より年上と思われる方が、別の資格取得のために勉強していたことです。
当時は50代くらいだったでしょうか。
「年齢なんて関係なく、人は学び続けられるんだな」
そう思ったことを今でも覚えています。
あと2点届かなかった年
長く勉強していると、少しずつ手応えが出てきました。
そして迎えたある年。
結果は不合格。
しかも、あと2点でした。
たった2点。
でもその2点が、本当に遠く感じました。
結果を見たときはしばらく立ち直れませんでした。
何年も頑張ってきたのに。
また来年なのか。
そんな気持ちでいっぱいでした。
でも不思議なことに、その悔しさと同時に希望も生まれました。
「あと2点なら、私でも合格できるかもしれない」
初めてそう思えたのです。
合格した年は、生活の中心が勉強だった
合格した年は、自分でも驚くほど勉強しました。
上司にも受験することを伝え、応援していただきました。
社内旅行も不参加にさせてもらいました。
朝は普段より1時間早起きして机に向かい、
通勤時間はわざわざ車通勤(30分)から電車&徒歩(約50分、うち徒歩40分)にして、イヤホンで講義の録音を聴きながら通い、
夕食の片付け後にも机に向かう。
使える時間はほとんど勉強に使いました。
決して要領のいい受験生ではありません。
だからこそ、人より時間をかけるしかありませんでした。
でもその積み重ねが、ようやく実を結んだのです。
行政書士の資格がくれたもの
合格したからといって、行政書士として開業したわけではありません。
でも、この資格は私にとって大きな意味を持っています。
30代をまるごと使って手に入れた資格。
会社の上司に応援してもらったこともあり、他部署の上司にも「すごいね」と褒めていただいたり
「私はやればできる」
という証明になった気がして嬉しかったです。
そして事務職を離れた今も、
「行政書士の資格を持っている」
という事実が、自分を支えてくれています。
資格そのものよりも、
長い時間をかけて挑戦し続けた経験の方が大きな財産だったのかもしれません。
今だから思うこと
若い頃の私は、
もっと早く合格したい。
もっと効率よく進みたい。
そんなことばかり考えていました。
でも振り返ってみると、
遠回りしたからこそ得られたものもたくさんありました。
あの頃の勉強は、資格を取るためだけではなく、
これから先の人生を支える土台を作る時間だったように思います。
そして今。
50代後半になった私は、また新しいことを学び始めています。
今更ながら、また別の資格へ挑戦する気持ちが芽生えているのです。
人より時間がかかってもいい。
遠回りでもいい。
自分でつかんだものは、自分の財産になるから。
行政書士試験で学んだ一番大きなことは、そんなことだった気がしています。


コメント